薬物を鼻から脳へ送達させるための技術の論文が権威ある科学誌に掲載されました

 みなさん、こんにちは。IR広報統括部長の岩田です。当社のTR(トランスレーショナル リサーチ)事業は、脳へ移行しにくい薬物を鼻から脳へ送達させるための技術(Nose-to-Brain送達技術;N2B-system)の研究を進めています。

この度、浜松医科大学の分子病態イメージング研究室との共同研究成果がドラッグデリバリー研究に関して権威のある科学誌Journal of Controlled Release(インパクトファクターは11.4)に掲載されました。インパクトファクター(IF)とは同誌に掲載された論文が直近2年間で他の科学誌で引用された数であり、この数字が高いほど影響力の大きい科学誌ということになります。

今回の論文は、当社TR事業が保有する独自の粉末製剤化技術と鼻腔内の最も脳に近い場所(嗅部領域)選択的に粉末製剤を投与できる特殊な投与デバイスを組み合わせることで(これをN2B-systemと呼んでいます)、薬物を脳内の標的部位へ高効率に到達させたことをPETイメージングによって評価できたという内容です。

インパクトファクターの高い科学誌に掲載された要因は2つあると考えられます。それは、ヒトに似た鼻腔構造をもつカニクイザルで嗅部領域が薬物の脳移行に重要であることを示したこと、そしてPETイメージングを用いることでカニクイザルが生きた状態で薬物が脳内の受容体に結合する様子を画像で評価できたことだと考えます。

この論文の筆頭著者はTR事業の基盤技術開発の佐々木恵太さんになります(写真は佐々木さんです)。佐々木さんをはじめ今回の研究にかかわったみなさま、論文掲載おめでとうございました。ヒトへの実用化が期待できる内容になっており、さらなる成果を期待します。